思いだし日記 2

2000年11月17日
そして母がハワイから帰ってきたあと、父はどんどん食欲も落ちて
元気もなくなっていったそうです。
たまりかねて母は自分が2ヶ月ほど前に検査を受けた
近所の開業医の先生のところに父を連れて行きました。
父は私が物心ついたころにはすでに「コーラック」を常用していた
便秘症でした。その便秘もこのところよりひどくなっていたようです。
そこでその先生はまず大腸カメラをすることにしたようです。
その後何種類かの検査をしてまた次の週に結果を聞きにくるよう
言われて帰ってきたと母に電話で聞いていました。
しかし、その受診日の前の日の夜にまた母から電話がかかってきました。
「今日ね、お父さんが検査した病院から電話があって今日結果を
 聞きに来てって言われたんよ。それであわててでかけていったら
 大きな病院にかかった方がいいから明日I病院の外科に行って下さい
  って。なんか悪い病気なんやろうかねえ」
I病院というのはこの街の一番大きな病院だ。おまけに外科。
ああ、ガンだったか。手術なんだな。どうしようかな。
自分の勤める病院に入院させた方がいいかな。でもうちは外科は
今一つのところがあるからな。などと母と電話しながらいっぺんに
いろんなことが頭を駆け巡った。
「とりあえず明日朝一番に資料と診断書を取りに来て、その足でI病院
 を受診するようにって」
「わかった、じゃあ気をつけて行ってき。結果わかったらまた電話してね」
そういって私は電話を切った。切ったけどあーーー落ち着かない。
すぐに兄に電話する。
私には兄が一人いて私の勤める病院のある市に住んでいる。
彼が結婚するとき、嫁さんが4つ年上だと言う理由で父は
認めなかった。結婚式にも出席せず、兄とは絶縁状態、嫁にも孫にも
父は10年たっても一度もあっていない。
そんな状況だが、そうも言ってられない。
今母から聞いた内容を兄に電話で話した。
「おまえ、明日病院についていってやったら?」
それを聞いたとき、くそーなんで自分が行くっていわねーんだ
あたしだって仕事してるんだぞ、簡単に休めないんだわい
と思ったのですが、裏腹に口からは
「そうか、そうする」
という返事が出ていたのでした。
兄から言われるまで気がつかなかっただけで
私ははじめからそうしたかったに違いありませんでした。
兄への電話を切ると続けざまに母に電話をしました。
「明日何時に行くの?あたしも一緒に行くよ」
「ほんと?そうしてくれる?」
母もまたそう言う私の言葉が欲しかったに違いなかったのでした。
その夜は早く寝床についたものの3時くらいまで
ちっとも眠れませんでした。
そして6時くらいには目がさめてとてもじゃないけど
眠っていられませんでした。
父のことは大嫌いなはずなのに何故だかよくわかりませんでした。

そして約束の8時より10分ほど早く、開業医の先生の病院につくと
駐車場で父と母がもう車を停めて待っていました。
私は自分の車を横に停め、父の車のほうに近づきました。
「おはよう」
そこにはあまりにも痩せて、びっくりするほど白髪が増えた
父が力なく笑って座っていました。
それだけで、すでに私は泣いてしまいそうでした。
でも、私はそんなことをするためにここに来たのではありません。
そんなことをするために。
じゃあ、なにをするために?
これから5ヶ月間、いえ、未だにその答えは出ることはないまま
今もこんな日記を書いているのでした。

今日の晩酌・・・・白ワイン3分の2本、ジャガイモのきんびら、クリーム
           チーズ、フランスパン

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