思い出し日記4

2001年1月29日
もともとかかった開業医の先生は、その近くにある、
わが町で一番大きい総合病院に元勤めていたので
そこへの紹介状を書いていてくれました。
おまけに直接外科部長先生に、電話連絡もしてくれていました。
私は隣町の病院に勤めていたので、とりあえず
本来の紹介先の病院へはいったん受診して、そこで
事情を話し、父が望めば私の勤める病院に連れて行こうと思いました。
開業医と総合病院の関係と言うのはある意味複雑で、
そうしないとはじめに診てくれた開業医の先生の顔を
つぶしそうな気がしたからです。

でも、行った後ですごく後悔しました。
その病院は、病床数1200、マンモス病院で
外来患者数もハンパではありません。
朝8時半に、紹介状をもって行ったにもかかわらず
受付に1時間、採血までに1時間、診察までに1時間といった
調子で、1週間ほとんど食事もとれず、おまけに
癌性疼痛がはじまっていた父にとって、廊下の硬い椅子で待つ
3時間は耐えがたい苦痛だったと予想します。
待ち時間の途中で、痛み止めの座薬を入れに行きました。
採血をした後、しばらく待たされて呼ばれると
「はい、これ持ってレントゲンとって来て下さい」
事務的に伝票を渡す看護婦に、自分の立場を忘れて
ぴきっと切れてしまいました。
「あのー、〇〇先生から資料と紹介状を頂いてあずけて
 あると思うんですけど。採血はともかく、
 もう余計な被爆は避けたいんですが、X線写真が
 また必要ですか?」
と聞きました。すると若い看護婦が奥に入り
今度は婦長らしき年配の看護婦が出てきました。
「じゃあ、診察はもう受けられないということですかっ?」
私、そんなこと言いましたっけ?
前の病院で、胸写、腹単、CTまで撮ってるんだから
今更なにがいるのか?ちゃんとフィルム袋見たのか?って
言いたいんだよっ。レントゲン撮ったらまたその分待つでしょっ!?
そういうと、年配看護婦は診察室に入り、フィルムを
確認しに行った模様。そして
「おなかの写真が入ってませんから、撮って来て下さい」
とまたまた冷たく言う。〇〇先生めー、入れ忘れたなー。
大きな病院は、初診の時には最低限この検査をする、という
ルーチン的な決まりがある。もち、うちでもある。
わかっているんだけど、その時は私は完全に患者のいち家族に
なっていて、怒り爆発だった。
このまま診察など受けずに、自分の勤める病院に連れて行こうと
本気で思った。父や母に聞くと、2人とも疲れ果てていて
とにかくこの場所から帰りたいと言う。
もう一度受け付けに言いに行く。
「患者の状態が思わしくないので、もう診察を受けずに
 連れて帰りたいのですが」
そういうと、
「じゃあ、中にお入りください」と言う。
丁度順番が来た頃だったのかもしれないが
しょうがないので両親を連れて、カーテンで仕切られた
狭い診察室に入った。

そこで受けた説明は、私が朝3時間前に開業の先生に聞いた
病状を、やわらかくしたもので、手術ではなく点滴で
治療します、そのため入院が必要です、といったものだった。
私が隣町の病院に勤めていると言うことは伝えてあったので
「入院はここでもいいし、娘さんの勤める病院でもどちらでも
 かまいませんよ」と先生は言った。
父は即答した。
「娘の勤める病院にします」

このマンモス病院は待ち時間対策委員会を即座につくって
検討するべきだと思った。

私の勤める病院も外来患者は1日何百もいるので、初診の場合は
待ち時間が長くなるけど、3時間もあれば普通はもう結論が出て
よっぽどの病状じゃない限り、病院から開放されている時間である。
ましてや、癌だとわかって紹介状を持って来院する場合、
検査待ちの時間は処置室などのベッドで横になって待つように
配慮されている。そのためいつも外来や処置室のベッドは
満杯だし、看護婦さんの患者移動も大変だけれども
それは絶対に必要なことだと思う。
うちの検査室も、表のカウンターに「病状の重い方などを優先しますので
予約でも順番が入れ替わることがありますが、ご了承ください」と
張り出し、実践している。
ただ、その重症度を誰がどのように判断するかがちょっと曖昧だけれどもね。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

この日記について

日記内を検索